カテゴリー: ダブルス、こんな時どうする?
ダブルス、こんな時どうする? Vol.6「アングルボレーを使ってポイントを取るために」
こんにちは。久しぶりのダブルスの投稿となりますが、今回は「アングルボレー」を使ってポイントを取得するためのパターンを紹介したいと思います。
今回もご協力いただいたのが、Ken’s四街道校の旭コーチ、Ken’s海浜幕張校の富田コーチ、Ken’sエストーレ校の松元コーチです。
パワー系のショットだけでなく、相手の力を利用したカウンターやライジングショット、ロビング、スライスと様々なオールラウンドテニスで組み立て、アングルボレーなど、タッチ系のショットを得意技とする旭コーチから実演をしてもらいました。
ここでは、平行陣を敷いて、雁行陣を相手とする場合のシチュエーションで説明をします。
雁行陣を主体として、ストロークでガンガン打ってくるプレイを攻略する一つの手段として、「前後の揺さぶり」が効果的になります。
あまり簡単に短いボールを使い出すと、返ってチャンスを与えてしまうパターンになってしまうことから、いくつかのショットと組み合わせることで成功率が上がる戦術となります。
まずは動画で紹介します。↓
旭コーチの実に見事なフォアハンドアングルボレーが決まりました。
簡単そうに見えますが、このプレイの中に大事な要素がいくつかありました。
①まずはワイドに振って、相手がフォアハンドストロークでクロスに返球。
↓
②町田コーチは、ワイドに振られたので、元の位置に戻るためのリカバリーをした。
↓
③チャンスボールにならないように、焦らずしっかりと深くボレーをつないだ。
↓
④町田コーチは、回り込んでフォアハンドストロークで返球をした。(させられた)
↓
⑤センター寄りになった町田コーチを確認して、丁寧にオープンスペースのクロス前にアングルボレーを使って落とした。
↓
⑥大きなスペースを空けてしまった町田コーチは、長い距離を走ることになり、ミスをした(エースになった)。
ここまでの組み立てがあったことから、アングルボレーの打つチャンスが生まれました。
アングルボレーを打つ前の深いボレーは、無理なスピードを出さないで丁寧に深く「運んで」いることと、フォアハンドに回り込ませたことが、注目したい高等テクニックですね。
ワイド → センター → ワイド
深く → 深く → 短く
この2つのキーワードを意識して、アングルボレーを狙った展開を試してみてください。
さらに、旭コーチの上手いところは、アングルボレーと見せかけて、ストレートに打つことがあります。「ストレートに打つかも?」という駆け引きがあることで、さらにアングルボレーの成功率を高めているところが流石です。
どんな打球に対しても、しっかりとラケットヘッドを立てて構えていることが、あらゆるコースを打ち分けられるボレーのフォームとなります。旭コーチは徹底しているところがスゴイですね。
続いて、相手の打球を浮かせて、高い位置でのアングルボレーを使った展開です。動画でご覧ください。↓
またまた、見事なアングルボレーが決まりました。
これもしっかりと深くボールを運んでおります。
旭コーチは、相手のボディー(体の正面)に深くボレーを入れました。
↓
町田コーチは、正面に入ってきた旭コーチのボレーをフォアハンドストロークで打ち返したが、深いボレーだったため、浮いたボールを打ってしまった。
相手のボディーに深くボレーを入れたことで、旭コーチは浮いたボールが飛んでくる可能性が高いことを読んでいました。
早くラケットを高い位置にセットしていることで、ストレートコースとアングルのコース両方を打てるようにしてます。
スピードが無くても、ややサイドスピンをかけて、アングルボレーで確実にワイドにボールを落としました。
雁行陣後衛の位置がベースラインの内側にいるのにアングルボレーを多用し過ぎると、逆襲に会うことがありますので、その前の組み立てる段階が重要になります。
無謀に短いボールを使うと、一番困ってしまうのはパートナーの前衛ですからね。その辺りも考慮して練習を繰り返すと良いと思います。
アングルボレーでポイントを取るような戦術は、一見すごく難しそうですが、上記の項目を参考にしていただければ、打つチャンスが増えると思いますので、ぜひお試しください!
ダブルス、こんな時どうする? Vol.5「雁行陣、相手のボレーが短くなったらどうする?!」
こんにちは、稲葉です。
今回は、Ken’s四街道校の旭コーチ、Ken’s海浜幕張校の富田コーチ、Ken’sエストーレ校の松元コーチがモデルとなってくれました。
3人とも私の師匠的な存在です。Ken’s千葉会場で、ちょうど集る機会があったので、ナイスなタイミング。支配人の澤村コーチが別の仕事で忙しくしている合間に、ちょっぴりコートを拝借!
今回は、並行陣のペアを相手に雁行陣で対戦している時の、相手のボレーが短くなった時のシチュエーションです。
以前ご紹介させていただいたダブルスで使う「3つのボール」ですが、
①落とし球
②上げ球
③突き球
これらの球質を使用して、画像下↓の町田コーチは頑張って並行陣相手にストロークでラリーをしております。
頑張った結果、相手のボレーのボールが短くなりました。というところからです。
(もちろん、意図的にわざとボレーを短く打たれることもあります。)
しつこくボレーで粘られるのも嫌なものですが、雁行陣後衛の目の前は大きなオープンスペースがあります。
左右だけでなく、前後に揺さぶられるのは、本当にきついものです。これが意外とやりにくいですが、前に短いボールを打たれるのを想定して雁行陣のラリーをしなければ、短いボールに対しての反応が遅くなり、ミスをしてしまうことが多くなります。
相手のボレーの打球が短くなったら、ストローク戦の延長として、いつでもネットに出て行く準備が大事ですね。
まずは、短いボールに対して、アプローチショットを使って、前に出に行く勝負をしたいところです。
ここでの注意点は、せっかく前に詰めに行ったが、ボレーヤーへ浮いた打球になってしまうと、逆に強く打ち込まれてしまうので、しっかりとボレーヤーの足元に沈めることです。
ここで使うのは、「落とし球」となります。
ここで動画での紹介になりますが、ちょっと上手く行き過ぎましたね…。↓
しかし、このパターンしかないと、相手並行陣ペアの前衛がポーチを狙いに出てくることがあります。
相手前衛の動き方などを、試合中に見極めることが必要になりますが、ポーチに出てくるのを抑えるためには、もう1つのパターンが欲しいところです。
「落とし球」を使ったアプローチショットだけでなく、いざという時に実戦で役に立つのが前衛へのスピードボールです。
ここでは、「突き球」を使うことになります。
動画での紹介です。ここで大事になるのが、足元へ沈める「落とし球」と、前衛に突いていく「突き球」の打球スピードやスピードを、変化をつけることです。
曖昧な打球になってしまうと、逆に最短距離となる前衛からのボレーを喰らう形となってしまいますので、しっかりとプレス(圧力)をかけて打ちたいところです。
そして、よくあるパターンとして、相手並行陣のボールが浅くなり、処理をする準備が遅れてしまった時に(あるいは弱気になってしまったと時に)、アプローチショットをロブで回避しようとすることです。
相手前衛のスマッシュやハイボレーなどの返球能力が低ければ問題はないのですが、相手前衛は体制不十分で処理をした時のロブは、大概見抜いていることが多いものです。
そこで、スマッシュを打たれることが多くなりますので、前に詰めることが非常に怖いものとなってしまいます。
動画での紹介です。↓よくこんな場面がありますよね。短いボールに対するケアを怠ってしまうと、攻められたはずの展開が守らざるを得なくなってしまいます。
ここで、並行陣側の前衛の立ち位置です。
パートナーのボレーの配球が良いと、やはりポーチが狙いやすくなるので、立ち位置が前になります仮に浅くなったとしても、甘いアプローチになりそうであれば、ポーチを狙えるチャンスにもなりますので、怖がらずに位置を前にして、相手にプレッシャーをかけられると良いと思います。↓
逆に、パートナーのボレーの配球が甘くなって、相手が勢い良く攻めに来そうであれば、立ち位置を調整して後ろ気味に構えることも必要になってきます。
この辺りは、展開の様子を伺って、臨機応変に対応できると良いと思います。
同様に、雁行陣側の前衛ですが、パートナーのアプローチが良い形では入れそうであれば、次にポーチに出る準備をするために、タイミング良く前に詰めて、2人がかりでプレッシャーをかけることも出来ます。↓
そして、やはりパートナーの後衛が前のスペースをケアしていることを怠ってしまい、やっと拾えたボールはチャンスになりやすいので、立ち位置を下げて、前に詰めた後衛よりも下がるケースになります。↓
なかなか並行陣相手に、前に詰めに行くことは勇気の要るものですが、雁行陣で頑張ったベースラインプレーの延長として、アプローチショットから前に詰めて、ネットプレーも織り交ぜてポイントを取りに行くこともおススメします。
次回は、旭コーチの得意なアングルボレーを使ったシチュエーションをご紹介したいと思います。
ダブルス、こんな時どうする? Vol.4「雁行陣、ストレートロブを上げて、抜けた後どうする?!」
こんにちは。稲葉です。
前回の続きである「ロブを上げた時の対処」についてですが、前回はロブを相手前衛のバックハンドボレー側に上げるものでした。
今回は、その上げたロブが相手前衛の上を抜けた場合を想定したケースを紹介します。
ロブには、追い込まれて十分な体制で打てない場合、立て直すことに時間を稼ぐためのロブもあれば、積極的に相手の陣形を崩して形勢逆転につなげるための攻めのロブがあります。
ここでは、相手前衛の上を抜くことが出来た場合のシチュエーションです。そして、相手後衛がバックサイド側に追いかけて、抜かれた前衛はフォアサイド側にサイドチェンジをします。
まずは、抜くことが出来たら、ラッキーだなと思うのが普通だと思います。
ちょっとスピードの乗った攻撃的なスピンロブだと、時間を奪うこともできるので、相手後衛はますます返球に苦しむことになります。
相手が右利きであれば、バックハンドストロークでの返球となり、技術的には難しい形となります。
ロブで抜けた形となるので、当然バウンドは高くなるので、さらにバックハンドストロークの難しい打点で打たせることになります。場合によってはスライスで返球させることにもなりますね。
ここで、相手後衛はサイドチェンジをして、バックハンドストロークで返球をするコースですが、一応追い込まれているので、基本的には私たちの次の攻撃に気をつけた形で返球をすることになると思います。
そうなると返球コースは、センター寄りから、ストレートへのコースとなります。↑
そこで、見方の前衛の次の行動は出来ているかどうか?ポジションは、そのままになっていないか?
相手前衛がスマッシュなどの攻撃が出来そうもないと判断できれば、前回紹介した記事の、バックボレー側に上げて、前に詰めてボレーでカットするパターンと同じく、抜けてサイドチェンジをする相手に対して、返球コースにプレッシャーをかけるためにも、前に詰めることのメリットが多いです。
ここでは、いくつかのポイントとして、
・詰めるタイミングが大事。詰めるのが早すぎて、逆にロブで抜かれ返されても勿体ないだけです(せっかく抜いたのに)。
・後ろに残っていることで、せっかく抜いたロブによる攻撃に転じるチャンスを見逃すことになってしまう。
・後ろに見方の後衛がいることで、後ろ側は安心して任せる気持ちで、思い切って前に詰めたいところです。ポーチに出れなくても、相手の返球コースを狭めることが出来るだけでも、十分な効果があります。
・もちろん、次のボールをどんどんカットしていくつもりで、積極的にポーチを狙いにいきたいところです。間違いなく相手のほうが苦しい場面なので、ここが美味しいチャンスです。
↑前に一気に詰めるよりも、1ステップジャンプを入れながら詰めるようにすると、左右への対応が容易になると思います。場合によっては、一気にストレートの返球を狙いにいって、こちらがサイドチェンジするほど、ポーチに出ても良いケースがあります。
前に詰めるタイミングが良いと、クロスへの返球を誘うことも出来ます。そのクロスの返球が浮いていれば、相手前衛側に打ち込むことができますし、クロスの短いところに沈めることも出来ます。↓
ここまでやれれば、相手にプレッシャーをかけることが出来ますが、相手は落ちついて正しい判断をした場合、単純にしっかりとしたストレートコースを打てば、問題は少なくなります。ですので、これだけでは不十分です。ロブを抜いて、見方前衛が前に詰める。これだけでは、まだ70点となります。
自分の打ったロブが相手前衛の頭上を抜けて、相手後衛がサイドチェンジをしながら追いかけている際に、自分自身が前に詰めて、返球されてきたボールを前で打つことが出来れば、さらに相手の「時間を奪う」ことが出来ます。↓
ここまで出来れば、かなりの高い確率で相手を苦しめることが出来ます。あまり躊躇して詰めるのが遅すぎると、自分自身への足元に打たれやすくなるので、気持ち良く出たいものですね。ただし、相手もロブを打ち返すチャンスもあるので、大事になってくるのが「タイミング」だと思います。
ロブは、つい守りのイメージがありがちですが、緩急として積極的に入れることで、相手のミスを誘ったり、陣形を崩すことにつながることになります。
単調なクロスラリーだけで、相手にペースを慣れさせるのでなく、チェンジオブペースをするためのパターンとして、積極的に取り入れることで、いざという時に大いに役に立つものとなります。積極的な使い方をするために、2人がかりで行うパートナーとの連携が重要ですので、これぞまさにダブルスの醍醐味というパターンだと思います。
ダブルス、こんな時どうする? 第3回目「雁行陣、ストレートロブを上げた時、どうする?!」
こんにちは。稲葉です。
第3回目のシチュエーションは、「ストレートにロブを上げた時の対処」についてです。
ロブは何も全てキレイに頭上を抜くだけではなく、2つのパターンを想定して使うことで効果的となります。
・ロブに対して、相手にノーバウンドで打たせて、ポイントを取るパターン
・相手前衛の頭上を抜くロブを使い、ワンバウンドで取らせて、ポイントを取るパターン
今回は、ロブに対して、ワンバウンドで取らせた対処法を紹介します。
前回の「3つのボール」の一つ、「上げ球」を上手にラリーの中に入れたいが、やはりスマッシュなどで、上から強く打たれないかが不安で、なかなかロブを使えないことが多々あります。
ただ平面的に・直線的にラリーをしていても、なかなかポイントが取れないばかりか、ミスを増やし、相手にポイントを与えてしまいます。
上の図のように、相手にとってスマッシュとなるような安易なロブですと、なかなかポイントを取ることが難しくなりますので、ロブを効果的に使えるようにしたいです。
そこに球質を変えて、上げ球のロブを入れることで、展開が変わります。ただし、ロブは、ただ上げるだけで終わってしまうのではなく、その後の展開のパターンをいくつか頭に入れておくことで、そのロブが緩急をつけた効果的なショットになるわけです。
まずは、相手前衛の高い位置に上げるバックハンドボレーへのロブを打てるようになると、展開が劇的に変わります。
テニスの技術の中でも、最も難しいショットの一つとされるのが、バックハンドのハイボレーです。力が入りにくい上に、コントロールをするのも大変なショットです。
なので、ロブを丁寧にバックハンドボレー側にコントロールが出来るようになると、大きなチャンスが生まれることがあります。
ここで、ナイス!なロブを上げられた後に、活躍したいのが、見方の前衛です!
↓まずはロブを上げた後の、見方の前衛の位置について・・・。
↑ナイスなロブによって、こんなにバックハンドボレーで追い込まれているのに、見方の前衛の立ち位置はなんとももったいない・・。
苦しい場面になっても、相手前衛はボレーヤーの足元に沈めやすくなり、その結果攻撃される心配が少ないことから、不利な状況一旦守ることが出来てしまいます。相手前衛がバックハンドハイボレーが上手なプレーヤーだと、センターにもワイドにもコースを付けやすくなります。↓
↓仮にロブがスマッシュ側に上がってしまったとしても、こんなに苦しそうな体勢になっていたら、むしろチャンスですよね・・。
そこで、まずは後衛がロブを上げたことを確認し、そのロブの行方からして相手前衛がスマッシュで打つか、バックハンドハイボレーで打つのかを判断したいところです。
この判断が難しいところですが、まずは見方がロブを上げるシチュエーションを判断することと、相手前衛がバックハンドボレーが苦手そうなのかを見抜くことも大切なことだと思います。
↑ちょっと勇気の要る展開となりますが、チャンスと判断し、見方の前衛は前に詰めて、相手の苦しい場面を付け込んで、前のスペースを詰めて、ボレーでカットすることで、一気にチャンスになる可能性が高くなります。
前に詰めるタイミングも大事となりますが、あまりにも早く詰めすぎると、逆に味方の後衛の守らなければならないスペースが広がり、負担が多くかかってしまいますので、1ステップジャンプで前に詰めながら、味方との距離のバランスを気をつけながら、相手前衛の打つハイバックボレーのコースを塞ぐつもりで詰めることが大事だと思います。
相手前衛も打てるコースを塞がれると、それもプレッシャーになりますよね。仮にそのポイントを失敗したとしても、その圧力が次のポイントに生きてくる場合がありますので、良いロブに合わせた位置を取りましょう。
最後に、ロブの上げかたですが、スマッシュを打たれてしまうのと、ハイバックボレーになるのでは大きく展開が変わりますので、ロブのコントロールも意識したいですね。トップスピンロブだけでなく、スライスで上げるロブだったり、ブロック気味のロブも練習できるようにして、上げかたのバリエーションを増やせると良いですね。
次回は、ロブが抜けた後の展開をご紹介したいと思います。
ダブルス、こんな時どうする? 第2回目「雁行陣、相手後衛がセンターに厳しいボールを打ってきた時の対処」
こんにちは。稲葉です。
「ダブルス、こんな時どうする?」2回目です。
前回は、相手後衛がクロスに深いボールを打ってきた時の対処をいくつかピックアップしました。
クロスにもワイド寄りのクロスと、センター寄りのクロスがあります。
今回は「センターに深いボールを打たれた時」を想定します。
ダブルスのラリーの中には、大きく分けて3つの球質があります。
①突き球(スピードのある、威力・圧力を重視した打球、アタック、ポーチなど)
②落とし球(ネットプレーヤーの足元に沈めるショット、ドロップ・アングルなど)
③上げ球(ロブ、トップスピンロブ、スライスロブなど)
これらを駆使して、様々な戦術に応用したラリーをするわけですが、やはり様々な球種(フラット・スピン・スライス)を使えるようになると、より応用力が利きますね。
今回は「センターに深いボールを打たれた時」の対処ですが、上記で記載した「3つのボール」を組み合わせることになります。
ここではデュースサイド(フォアサイド)でのラリーを想定しますので、センターのコースは、右利きの方はバックハンドでの対処になります。
「バックハンド」という要素で、対処していくことを考えます。
やはりストロークは「順クロス」が打ちやすく、一般的には「逆クロス」という技術は非常に難しいとされます。さらにバックハンドだと尚更です。
相手のデュースサイド(フォアサイド)クロスに返そうと思っても、相手の前衛が待ち構えていることが多いです。
センターのボールは、やはり角度をつけることが難しいですので、バックハンドの打ち方次第で、この返球はセンターベルト付近に返りやすくなります。
私自身もこのバックハンドの返球に苦しむことが多々あります。原因として、以下の点が挙げられます。
①身体が開いている
②テイクバックが遅い
③グリップチェンジが間に合わない
④フットワークが雑で、サイドステップで入っている
ここで、自信を持ってストレート側に打つと、どうなるか…。
コースがこんなにも狭いんですね。
センターから打つ場合は、passing shotで「抜く(突き球)」よりも、一度相手前衛の足元に「沈める(落とし球)」、前衛のボレーを一度つながせることが良いケースがあります。※ここでは、オープンスペースとなるドロップボレーに気をつけたいです。
まずは、しっかりとした逆クロスへの深いボールを打てるようにしたいですね。
相手のボールが深いコースに入ってきているので、しっかりと肩を入れて打ちにいきたいですね。
そうすることで、相手前衛のポーチのケアにもつながり、逆クロスだけでない返球方法もバリエーションとして増えてきます。
この逆クロスが甘くなると、浅くなり、相手の攻めのペースが速くなり、相手後衛が前に詰めてくるケースがありますので、しっかりと深いところに打つことを心がけます。
第1回目で紹介した、緩急を混ぜた「中ロブ」を使うことで、前衛のポーチを出にくくしたり、深く返すことで時間を稼ぎ、リカバリーしてポジションを戻し、次のチャンスを狙うことを意識したいです。
※田村コーチのペアの熊谷コーチの前衛の立っている場所が、画像の加工上、左にズレてしまいました。本当は普通のポジションです!
センターの深いところに打たれているので、センターに寄せられ、サイドがオープンになってしまいます。このパターンに気をつけたいですね。
では、こうならないように、深い逆クロスへの返球以外に、「3つのボール」の特性を使った返球方法を紹介します。
一つは「ロブ(上げ球)」です。4人ともややセンターから左側寄りに立っているときは、相手バックサイドへのロブを使うことで、バックハンドでの不利な状況を回避できるケースがあります。
相手後衛が前に詰めてくることも考えれば、ストレートにロブを上げることも一つの手です。そのロブを、深いところまで打つことができれば、展開を逆転できることも考えられます。
さらに、スライス面を上手に用意することで、相手前衛はストレートロブを警戒しますので、そこで矢印の場所に短く落とすショット(落とし球)も考えられます。スライスショットは、威力こそありませんが、成功率を高めるためには、ロブ(上げ球)などのバリエーションの組み合わせで、十分効果的なボールになります。
一般的にはバックハンドのほうが技術的には難しいので、ペアでサイドを決める際には、この点も考慮しても良いかと思います。
バックハンドの技術をアップさせることに、一つの何かのお役に立てられればと思います。
ダブルス、こんな時どうする? 第1回目「雁行陣での深いボールへの対処」
こんにちは。稲葉です。
テニスの楽しみ方の一つとして「ダブルス」をすることが多いですが、普段のレッスンでもお伝えしている内容も含めて、可能な限りの戦術パターンをご紹介したいと思います。
もちろんプレーヤーのレベルによって状況が変わるので、様々な対応や解決策がありますから、答えは一つではないのですが、「こんな方法もあった!」と、何かのお役に立てられれば幸いです!
Ken’s成田校のコーチたちの得意なパターンだったり、悩んでいるパターンや、技術的に考えていることなども、ご紹介できればと思います。
まずは、「雁行陣」で戦う際のシーンを想定して、パターンをいくつか紹介します。
雁行陣での戦い方に、キーワードとして以下の点を挙げます。
①深いボール
②浅いボール
③角度のあるボール
④ロブ
⑤ストレート
⑥前に詰める
⑦役割(後衛と前衛)
第1回目は、後衛の役割として、「深いボールへの対処」についてです。
ここでは、サービスとレシーブ後の局面を想定した展開です。
雁行陣vs雁行陣のラリーで、相手のボールが深いところにクロスに入ってきました。
ストローク力の強い相手は、このようにして返球しにくいところを打ってきます。
そのボールに対して、ストローク力に自信のある方は、おそらく迎え打つことが多いと思いますが、よくこのような展開になってしまうことが多くあります。
相手の深いボールを無理に攻めに行くと、ネットにあるセンターベルトの右寄りに振り遅れることが多くなり、それを待ち構えていた相手「前衛」にポーチを打たれて決められてしまうことがあります。
さて、この場合、皆様ならどうしますか?
振り遅れる原因として、以下の要因が考えられます。
①テイクバックが遅れた
②無理にライジングで打ちに行った
③手打ちになってしまった
④コートの内側に立って構えてしまった
⑤スタンスに無理があった
⑥肩が入っていなく、身体が開いていたことで、読まれてしまった
⑦グリップチェンジが間に合わなかった
⑧スプリットステップ、フットワークが不足していた
まだ、他にも考えられる要因があると思います。
さらに、極端に守りすぎて、ストレートに「ロブ」で回避してしまうと、これも相手「前衛」が待ち構えており、スマッシュを打てれるケース(特に男子ダブルス)が多くなります。
女子ダブルスの場合は有効な返球方法になる場合があります。相手のスマッシュの力量を判断した上で、ロブの使用を考えますが、相手の深いボールに対して、位置を後ろに下げられたら、ロブも長い距離を打たなければならないので、打つ軌道の難易度は高くなることが考えられます。
↓
さらに、相手の深いボールに対して、クロスになんとか返球できたとしても、浅くなったり、浅い角度のついたボールになってしまうケースがあります。
そうなると、相手「後衛」の展開が広がり、ストレートに打たれるリスクが高まります。
そして、相手の深いボールに対して、無理に「ストレート」を狙うと、やはり深いボールの返球は難しく、上手な前衛はこのストレートを待ち構えていることが多いです。
つまり、深いボールを打たれると、非常に厄介なのが、相手の「前衛」なのです。ここを回避したいところです。
ここで対策として、「深いボール」を打たれた時は、まず、ベースラインよりも下がった位置で打ち、スペース(場所)を考えなければなりません。そして、基本的に「クロスに深いボール」を返球し、下げられたポジションを取り戻す「時間の確保」も意識したいところです。
あまり腕力に自信のない方、または女性の方は、相手の「前衛」に捕まらない「軌道」を考えなければいけません。
そこで、「中ロブ」をしっかりと打てるようにすると、相手「前衛」に捕まりにくく、さらに「深いボール」で返球することが容易となります。
さらに、ストレート側との組み合わせにより、この「中ロブ」が活きて、相手「前衛」は、なかなかポーチに出にくい状態になります。
ポイントは、相手の良い打球に対して、無理に・強引に、さらに良い打球を返球しようと考えすぎず、この「中ロブ」を上手に活用して、「緩急」を織り交ぜることにより、自分自身だけでなく、ペアも「ペースを回復」することが出来るのです。
・緩急を織り交ぜた「中ロブ」を使うことで…。
①相手のポジションを下げる効果がある
②高い打点が苦手な方への、ストライクゾーンで打たせなくする効果がある
③ご自身のペアの「前衛」が、「中ロブ」に合わせて、ポーチに出やすくなる
④リカバリーするための「時間」を回復することができる
もちろん対策はこれだけではありませんが、いかがでしたでしょうか?
一定のテンポだけでラリーするのだけではなく、「緩急」を付けたボールは、ゲームにおいてとても重要になります。
続きは2回目で紹介します。